ヒトは道具を作り、使うことにより人間になった、と言われています。道具をどう扱うか、これに関しては、人それぞれ様々でしょうが、私が一つ理想としている型があります。
“大空のサムライ”の著者で、元ゼロ戦パイロットの坂井三郎氏が、生前インタビューで、“自分が最も脂がのっていたとき、ゼロ戦の主翼端が中指に、機体先端が眉間に感じられ、完全に飛行機と自分が一体化していた。”と答えていました。
これこそが、私自身が望む、器械との関係です。白内障器械にせよ、顕微鏡にせよ、手術の際、それら器械が自分の体の一部となり、自分の指先を思いのまま動かせるのと同様に、器械を意のままに操り、細部まで肉眼で見ているように自然に見える。このような関係を築ける器械を選び、一体化できるように日々研鑽しています。